031020 ランダム
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RS女将繁盛記ヽ( ´ω`)ノ

RS女将繁盛記ヽ( ´ω`)ノ

第一話

第一話
















草木も眠る丑三つ時。





空には薄い雲が棚引いている。





とある町の何の変哲も無い建物。





街中からフードを被った男が入っていった。






















扉が軋み、開かれる。中には漆黒の闇。


























コツコツと足音だけが響く。





微かな光、蠢く影。





男が向かう先は・・・・地下の一室。








男が地下室に入った瞬間、誰かに声を掛けられた。






どうやら女の声だ。








女「どちらへ行っておられたのですか?こんな夜更けに。」





男は口を開いた。声の調子は暗い・・・





男「・・・悪い知らせが二つある・・
  一つは『例のヤツ』がまた支部を一つ潰した。
  これで今月に入って3個目だ・・・」





女の顔が険しくなる。





女「またヤツですか・・・」





男「あぁ・・・
  もう一つは、
  ヤツの弟子が古都に入った。
  既に此処からそんなに遠くない場所だ。」





女「ヤツの指示でしょうか・・・?」





男「分からん・・・
  ヤツには長年悩まされているが、
  全く行動が把握できない。神出鬼没・・・ってやつだ。
  弟子が古都に来た事も、偶然なだけかも知れん。
  しかし、ヤツの弟子だ。危険な事に変わりは無い・・・」





女「打つ手無し・・・ですか・・・」





男「あぁ・・・」


































二人の間を長い沈黙が包んだ。











































沈黙を破ったのは、別の声。







































?「私が・・・古都に行きましょうか?」





少し驚いたように、女は声を張り上げた。





女「貴方がですか?
  事の重大さを理解して居るんですか?」





?「ええ、重々承知です。
  しかしながら、その『ヤツの弟子』を仕留めれば、
  貴方達の憂いの一つは解消されるのでしょう?」





男「それはそうだが・・・
  仕留める自信はあるのか?」





?「勿論。お任せ下さい。」






男は少し考えた後、口を開いた。






男「分かった。
  お前に任せよう、必ず仕留めて来い。」







?「有り難う御座います。必ずや・・・」




















怪しく笑みを浮かべ、空を見上げる。


















雲の切れ目からは三日月が顔を覗かせていた。






























これから起こる事を、何一つ知る由も無く。



















第一話 End


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